LEAP BEFORE YOU LOOK - いのち 復刊3号
この4月から千葉県動物愛護センターでは里親さんを探す活動を行おうとする民間の個人・団体に犬猫の譲渡をすることになり、ライフボートも参加させていただきました。
千葉県は都市環境と田園環境が混在する地域でもあり、犬猫の殺処分数は減少しているものの、全国的にはまだ高いレベルの地域に属します。多くの方達が県の譲渡活動に参加することで、一つでも多くの命が救えるようになることが期待されています。
千葉県は福岡、茨城などと並んで全国でも殺処分の多い県として知られています。(平成17年度殺処分数は年間犬猫合わせて1万6千頭)
その千葉県が殺処分を減らす方法の一環として、民間ボランティアを通じての犬猫譲渡推進に大きく舵をきったことは、ボランティアへの譲渡を実施していない他の自治体だけでなく、いわゆる「動物愛護団体」にも大きな影響を与えることになります。
今回千葉県が開始した「新しい飼い主を探そうという団体や個人へ収容動物を譲渡する」という方法は、ライフボートに協力してくださっている山梨県福井県をはじめ、東京都や他の自治体でも採用しており、すでに一般的な傾向になりつつあります。今後は民間のボランティア参加者を募るという方法で譲渡問題に取り組む自治体がドミノ的に増えることが期待されます。
一方で、これまで多くの動物愛護団体や個人は行政の犬猫殺処分回避への取り組みを生ぬるいものとして非難してきました。しかし、このように各地の自治体が続々と重い腰を上げてしまえば、今までのように行政を批判してきた人達にとっては「自分の言い分が通った」というだけでは済まなくなります。
これまで散々批判してきた行政からボールが投げ返されてきたのです。
行政が「さあ、どうぞご自分でこの可哀想な犬や猫を引き取って新しい飼い主さんに譲渡をしてください。」と言っているのですから、批判をしてきた側が今になって出来ない理由を並べ立てて譲渡活動から逃げることは許されません。ボールの受け止め方によって、「本当に犬や猫を助けたいと思っているのか?」「助けたいと思っている優しい心の自分が好きなだけなのか?」が否応なく試されてしまうのです。
ライフボートも「行政が積極的に取り組んでくれれば犬猫の殺処分数を劇的に減らせる」と事あるごとに主張してきました。
- いのち復刊1号『手を伸ばせば救えるいのちがある』
- いのち復刊2号『行政による犬猫の殺処分について』
千葉県の活動に参加させてもらうことは、そんな自分達の主張の正当性を証明する大きな機会を与えられたと共に、自分達の今までの言動に対する重い責任が伴うことになります。多くの命が助かるか殺されるかの分かれ目は、ライフボートもそのひとつである参加民間団体や個人がどれだけの犬猫を救出できるかにかかっています。何としても成功例を作らなければなりません。
一層のご理解とご支援をお願いいたします。
平成19年5月
ライフボート友の会
ライフボートでは今年度千葉県から仔猫400頭、子犬100頭の引き取りを予定し、県の方にもそれを報告しています。
また、千葉県動物愛護センターは既に昨年度、子猫200頭子犬400頭を自分達で一般向けに譲渡している実績があります。県の一般向け譲渡数も更に伸びるものと思われますが、たとえ昨年と同水準であっても県とライフボートを合算した今年度の譲渡数は仔猫600頭以上、子犬は500頭以上になります。
今後参加する民間団体や個人がこの数字を大きく押し上げることは間違いありませんが、県とライフボートが作る数字だけでも子犬・仔猫の譲渡数は全国で最高レベル(ひょっとすると日本一)になると思われます。千葉県の場合には持ち込まれる数が多いという事情があるので救命率(県の引取数と譲渡数の比率)は相対的には低くなってしまうものの、それでも10%台前半になればやはり全国最高レベルに達します。
つまり、保健所への持ち込み数が依然高いレベルにあり、県民の飼育意識の改善など時間を要する最重要課題を残しながらも、少なくとも譲渡数という一つの指標では県の努力が確実に実ることになります。
ライフボートが従来から応援を受けている岐阜市、山梨県、福井県からの犬猫について、今年度も引き続き譲渡を受けて里親さんを探していくのはもちろんです。したがって、ライフボートの今年度の譲渡数(=引取数)は千葉県の分がそっくり上乗せされる形で仔猫が1,000頭、子犬が300頭程度になるものと思われます。
ところで、現在ライフボートのスタッフは10名に過ぎません。予定数字が実現すれば、ライフボートのスタッフは100頭を超える終生飼育犬猫達と、多い時期には200頭に達する里親さんを待つ犬猫のケアを毎日繰り返しながら、それでも一人あたり年間130頭を里親さんにもらっていただける計算になります。
多くのボランティアさんや支援してくださる方達の力がどんなに重要か分かっていただける数字ではありますが、ここで本当に強調すべきことは、ライフボートのスタッフや支援者は特別に愛護意識に凝り固まった活動家ではなく、各世代を束ねた「どこにでもいる普通の人達」でしかないということです。
経験から学んだこと以外に格別の能力があるわけでもない平凡なスタッフにでもこの実績を残せるとしたら、ライフボートの「やれば出来る、だからやりましょう!」という呼びかけは広く一般性を持つことになります。
故なく殺されてゆく犬猫達を助けたいという多くの人に共有される心情は、それを大声で叫ぶ愛護団体だけに独占されるべきものではありません。
ライフボートのスタッフのような普通の人間が参加することで、「行政の協力さえあれば、保健所の犬猫問題の大半は解決する」「当たり前のことを当たり前にやれば結果がついてくる」ということを事実で示せれば、多くの人達にとって好ましいことである「行政が犬猫を殺さない社会を作る」ことへの大きな弾みになります。
多くの方がそれぞれの方法でこの活動に参加していただけることを期待したいと思います。
<追記1>
ライフボートでは昨年まで使っていた「殺される犬猫達を救おう!」というスローガンを今年度から「手を伸ばせば救えるいのちがある」に変更しました。
申し上げたように、今や多くの自治体が続々とボランティア向けの譲渡を開始しつつあります。そのことは、別にブリーダーの飼育放棄を待たなくても、災害地に出向かなくても、手を伸ばせば救えるいのち、そして何もしなければ失われるいのちが、「だれにでも」「どこにでも」「いつでも」「目の前に」あるということに他なりません。
「手を伸ばせば救えるいのち」に、あなたの手も伸ばしてみませんか?
<追記2>
千葉県の活動に参加をお考えの千葉県在住の方は千葉県動物愛護センターホームページをご覧ください。
他の地域の方はそれぞれの自治体に詳細をお問い合わせください。
ライフボートの救命実績については下記でご覧いただけます。
※この文章は千葉県動物愛護センターの事前の了解を得て書かれたものではなく、文責はすべてライフボート友の会にあります。
