もう一艘のライフボート - いのち 復刊7号

今回のメルマガは大変うれしいお知らせです。

来年4月、東京に猫のシェルター(飼育と常設の譲渡会場)「ライフボート東京」が開設できる見通しになりました。

ご承知のように、「行政機関で殺される犬猫のいのちを一頭でも多く救う」ことはライフボート設立以来の一貫した活動ですが、保健所から犬や猫を引き取ったあと里親さんにもらっていただくためには、その犬猫を取り敢えず収容し、譲渡できるだけの大きさや健康状態になるまで飼育や医療をする必要があります。(ライフボート=「救命艇」という私達のちょっと変わった名前も、この「見送れば殺されてしまう犬猫を『取り敢えず収容する』という活動」に由来しています。)

より多くのいのちを救うのにはその分の収容施設が必要になります。
もちろん、施設を作るのには資金がかかります。
収容能力の拡大が必要なことは理屈では分かっていても、なかなか思うようにはいかないのが現実でした。


ライフボートが支援をいただいている先の一つに「SHIPPO-TV」さんがあります。
本業は別にありますが、社会貢献活動としての動物愛護に大変熱心な活動をされています。

その「SHIPPO-TV」さんが、有名な猫ブロガーさん達の協力を得て製作されたカレンダーを販売し、収益をライフボートに寄付していただけるという試みを行ったところ非常に大きな反響があり、ライフボートに対し約250万円という多額の寄付金をいただけることになりました。

250万円という金額にも驚かされますが、もっと驚かされるのはこの金額が一つ1,000円のカレンダーの収益の合計であり、見知らぬ多数の方々の支援の賜物であるということです。私達の微力な活動に対し、これだけ多くの方々のご支援をいただけたことには感謝の言葉もありません。

この思いもよらないご支援はもっとも有意義に前向きに使用されなければならないのは当然です。
寄付金の使途について、いろいろ検討を重ねる中で、こんなに大きな反響を予測していなかった当初には夢にも思えなかったアイディアが誕生しました。

この資金をきっかけに東京猫のシェルター「もう一艘のライフボート」を作ろうという計画です。

猫のシェルターですから、それほど広い場所は必要とはしません。30坪ほどの貸し室を借りて、それを飼育室、面会室などを備えたシェルターに使用することが出来ます。
最初に小規模なシェルターをスタートするには500万円ほどあれば大丈夫、というのが私達の試算です。これこそ、文字通り「乗りかかった船」というのでしょう。SHIPPO-TVさんが、「東京でのシェルター構想」に全面的に共鳴してくれて、不足する金額(あと250万円)の調達も応援してくださることになり、あっという間にシェルター開設資金に目途がつきました。

ライフボート東京の運営はSHIPPO-TVさんとライフボートで共同して当たることになります。ライフボートには集団飼育の方法や里親さんの募集方法など活動全般に経験や実績があります。SHIPPO-TVさんにはそのビジネス経験を通じて、今よりももっと多くの人達にライフボートの活動を知っていただくためのノウハウや企画力があります。

計画はまだまだ膨らみます。

飼育と譲渡の活動が一通り軌道に乗り資金調達の目途もついた段階で、地域猫の不妊手術活動(TNR)にも協力できる「不妊手術専門病院」を併設する予定です。遠い将来の夢ではなく、早ければ来年夏までに実現するでしょう。

この活動は現在のライフボートでも行っていますが、千葉県では立地の不利があり、せっかく非営利の安い手術費用を設定しても、東京で活動されている方にとって場所が遠いため、往復の時間や交通費の点で費用がかかって利用しづらいきらいがありました。
東京シェルターに病院を併設することでこの問題は解決することが出来ます。一頭でも多くの命を救う活動と同時に、不幸な猫を一頭でも少なくする試みとして多くの地域猫の手術をさせてもらえるよう頑張ります。

もう一艘のライフボート、「ライフボート東京」は来年の4月までに準備を終えて、東京猫の救出に向かいます。
ここまでご支援をいただいたみなさまに重ねてお礼を申し上げると共に、今後更なるご支援をお願い申し上げます。

ライフボート東京の概要

活動開始時期2008年4月
所在地東京都(場所を確保次第ご報告いたします)
収容頭数約50頭
初年度譲渡予定数年間200頭からスタート

いただいた支援金やシェルター開設までの予算などはSHIPPO-TVさんのページでご覧いただけます。

追記

ご報告したように、今回の「ライフボート東京」の船出は本当に多くの幸運が重なって出来ました。たしかに始まりとしてはそうですが、シェルターの運営は長期に継続出来なければ成功だとは言えません。これからが本当の活動です。 たとえ、年間200頭しか譲渡できない小規模なシェルターでも、10年続ければ2,000頭、20年続ければ4,000頭のいのちを救うことが出来ます。(20年後には行政機関で殺される犬や猫がゼロになっていることが一番いいのですが・・・)

しかし、今回のライフボート東京設立が意味するものは、単に「救えるいのちが増える」ことばかりではありません。
より大きな意味は、ライフボートが初めて外部の方(SHIPPO-TVさん)と連携してシェルター運営に取り組めることにあります。

目的を同じくする人達との共同運営経験を通じ、自分だけの力に頼る従来の活動から一歩前進した、より広範な視野を持った活動を展開できると思うからです。今回、ライフボートの今までの実績を評価した上で犬猫の救出活動に参加していただける方を得た、という実績は(今度は東京での実績も積み重ねることで)さらに他地域での参加を期待できるものになる可能性があります。

現在、各自治体によって譲渡実績に大きな差があるものの、譲渡数の少ない自治体が必ずしも動物愛護に冷淡だということではありません。譲渡に熱心でないとの批判を受けている自治体でも、「譲渡したくても受け皿になる民間の活動が地元にないため具体化できない」というほうが事実に近いかもしれません。

例えば、ライフボートでは現在片道600qの道を走って福井県の犬猫の引き取りを行っています。もちろん、それを厭がるものではありませんが、地元に譲渡活動できる団体があればその方がいいに決まっていますし、ライフボートがたまたま福井県でできているからと言って、同じことを全国レベルでできるはずもありません。それぞれの地域にシステム的な活動をできる人達が現れてくれれば、行政機関で殺される犬猫の問題は大きく解決します。

問題はどうすれば多くの人達に犬猫の救済活動に参加してもらえるかの方策を考えることです。

民間の個人や団体が行政で殺される犬猫に見て見ぬふりをせざるのを得ないのは、犬猫を引き取り飼育して譲渡するというプロセスに大きなリスクが伴うと考えられているからであることは想像がつきます。

「だったらリスクを減らせるようにすればいい」というのが私達の考えの基本です。そもそもリスクへの恐怖は「最悪でもこのくらい」と客観的に読み切れれば半減するものです。リスクそのものより、「リスクに対する恐怖」のほうが解決されるべき問題かもしれません。

一つの場所で行うよりも2つ、3つの場所で連携活動ができれば、飼育や譲渡について回るリスクをみんなで吸収できます。「みんなでやれば恐くない(心強い)」というのは、心理面だけでなく実践面でもそのとおりでしょう。

これから試行錯誤を繰り返されるであろう「東京モデル」が、リスクの問題に答えられる活動内容を構築し、そのことで新しい参加者を得て他の地域にも活動が波及してくれることを願ってやみません。

今後ともご支援をよろしくお願い申し上げます。

作成:2007年12月20日